歯科相談室でよく見られる相談に「神経の治療」「根の治療」があります。
併せて、
歯科用CTスキャン、マイクロスコープ、ラバーダムが話題によく上がります。
今回は、神経の治療=
根管治療=歯内療法の成功率についてのお話です。
根管治療の成功率を左右するのは「治療の丁寧さ」が一番に挙げられます。
その丁寧さの中には「できるだけ無菌的に治療する」ことも含まれます。
丁寧に無菌的に治療するためには、
十分な治療時間を確保することと、
ラバーダムというゴムのマスクを使うことが好ましいとされています。
「ラバーダムをきちんと使用しているもの」に限ってデータをまとめていくと、
抜髄 → 86% (95%CI 84.2-87.8)
未治療の感染根管 → 80% (95%CI 78.5-81.5)
再治療の感染根管 → 56% (95%CI 51.8-60.2)
※ラバーダムは理想論!?より引用
ここでも書かれていますが、ラバーダムはつけるだけでは不十分です。
ヨード消毒剤、アルコール、30%過酸化水素水などでの消毒が必要なようです。
根管治療で使われている薬は、成功率にはさほど影響がないようですね。
世界の歯内療法の専門医が通常の根管治療を行った場合の成功率は
その歯の状態によって異なりますが、
神経を取る場合(抜髄)では 90%
神経が無い状態の根管治療では 80%
根の先に根尖病変が見られるもの 70%
再感染根管治療の場合 60%
と、治療の成功率は全く異なることが数々の世界的な研究から報告されています。
※歯内歯周専門室 宮下歯科のサイトより引用
このサイトに書かれていますが、再感染根管治療であっても、より高度に治療すれば70〜90%にまで成功率は高められるそうです。
では、ラバーダムを使わなかった場合はどうなのでしょうか。
ラバーダム(ゴムのマスク)を使用した場合 : 約90%(初回治療時)
ラバーダム(ゴムのマスク)を使用しない場合: 約50%以下(初回治療時)
※初回治療時にラバーダムを使用した場合の、再治療時の成功率は約60%。
※ラバーダム【歯科大事典】より引用
ここに書かれている初回治療というのは『抜髄』のことを指しています。
ところで、ラバーダムをせずに再治療した時の成功率はどれほどなのでしょうね。30%くらい?
・ラバーダムを使っての再根管治療の成功率を60%
・ラバーダムを使わない再根管治療の成功率を30%
という仮定で、再治療を繰り返した場合をグラフにしてみました。(仮想)
『治るも八卦、治らぬも八卦』という治療でも、5回もやり直せば成功率は90%以上!?
再治療という行為自体が、ハイリスクなんですけどね・・・。
神経を取る治療は、ラバーダムを使ってくれる暇そうな医院か、保険外の医院がオススメ!?
(保険診療で暇そうな医院って、ちょっと不安がありますけど…)
【根管治療関係の学会認定医】
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日本歯内療法学会 認定医一覧
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日本保存歯科学会 認定医一覧