「歯を失ってもインプラントがある!!」
・・・という声がたまに歯科医サイドから聞かれます。
いやいや、天然の歯を失うような環境にインプラントして本当に大丈夫なのでしょうか。
■ 歯周病(歯槽膿漏)
□ 全身性歯周病 --- 基本的にインプラントは不可
□ 侵襲性歯周病 --- 基本的にインプラントは不可
□ 慢性の歯周病 --- コントロール後であればインプラントOK
■ 齲蝕(ムシ歯) --- インプラントは可能
これは先日の長岡歯科医学会で、東京歯科大学の井上教授が提唱されたものです。
歯周病で歯を失った場合は、インプラントで欠損を回復するのは、実は難しいのです。
その場はしのげても、
いずれダメになるリスクが高いということです。
ムシ歯で歯を失った人で、なおかつプラークコントロールが良好な人。
そして、骨の量、骨の厚みや骨密度が十分にある人は、インプラントできます。
(どれだけの人がその対象になるかといえば、実は少ないと思います)
「インプラントの長期の予後が、
天然歯保存の治療よりも優れているというデータはない」
私はこれまでも一部の患者さんにインプラントの治療を行い、義歯を回避してきた。
インプラントはとてもいい治療であると思っている。
ただし、世界中の論文を読んでみると、
重症な歯周病に罹患した歯を保存した予後の研究と比べて、
インプラント治療が格段に優れているとは思えない。
研究というのは平均値を出すことでもあるので、
本当の判断はケースバイケースだ。
インプラントがベターの場合もあるし、他の方法がベターの場合もある。
少なくとも、“第一選択”とはなりえないと思う。
※ 【コラム】スウェーデンの専門医から見たインプラントより引用
インプラントは骨の中にチタンなどの”異物”を埋め込む治療法です。
十分な下調べをして、準備万端にして取り掛からないと、思わぬしっぺ返しが来るハズです。
どれだけ技術が高くても、各種検査を含む準備が不足していたら失敗します。
偶然、成功することはあるかも知れませんが、その”偶然”に賭けますか?
”その場しのぎ”の治療に、何十万も・・・私は払いたくありませんね。
インプラントをするにしても「
プラークコントロールがすべての始まり」と言えるでしょう。
(これができれば、インプラントの必要性も減ってくるのですが・・・)
「抜歯⇒インプラント」に走る歯医者には気をつけなければいけません。